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在日外国人インタビュー集

     
 

Person 16

 

他国のマナーや習慣を尊重し受けいれるけど、
これだけは譲れないという考え方もある。
外国人であっても、
生活しているかぎり求める安定があります。

 

日本には布教活動を目的に来ました。
もう六年ほどになります。
日本で暮らしはじめた当初困ったことは、
日本の社会の中で、日本人に混じって行動する時、
日本人の態度や生活習慣に
合わせなければならなかったことです。

たとえば日本では、
電車の中でものを食べるのは行儀が悪いでしょう。
ニュージーランドではOK、失礼ではない。
それから入浴の習慣が違うのにも困りました。
日本人はみんな、夜、お風呂に入りますが、
ニュージーランドの習慣では朝、シャワーを浴びます。
来日当初のしばらくは
日本人家庭にホームステイをしていたので、
朝早くから夜遅くまで出かけていたわたしは、
なかなかお風呂に入れませんでした。

マナーや生活習慣が違うというのは、
日常生活を送っていくうえで、けっこう大変なことです。
けれど日本で暮らしていくのですから、
日常生活の行動を日本人のやり方に合わせることは、
受けいれ、実行できます。

ただ、日本で暮らすことになっても、
自分のスタイルを変えられないことが一つあります。

仕事や家族に対する考え方は、
絶対に変えたくなかったし、変えませんでした。
日本人は、仕事が一番、家族は二番でしょう。
それは絶対にイヤです。
そんな風には考えられません。

マナーや習慣と、個人としてどう生きるかは別です。
仕事の場で起こることについても、
受けいれられることと、そうでないことがあります。

わたしはいま平日、私立の高校で教師をしています。
外国人教師は、わたしの他にも何人かいるのですが、
わたしたち外国人教師は、
職員として数えられていないようです。
学校で何かを決めて行う時、
教師たちは何をどうするのか、
外国人教師には、はっきりした説明がないのです。
あっても遠回しな言い方で、はっきり言わないので
状況をつかむだけで疲れてしまいます。
雇用についても、
わたしたち外国人は交渉しだいの個人契約で
確たる基準もなく、不安定です。

そういう環境で数年前に一度、トラブルがありました。
一人の外国人教師が、
いろんな事情が重なり精神的な病気になりました。
学校側は、その先生をクビにしようとしたんです。
わたしたち外国人教師は団結して、
「辞めさせるな」とストライキを起こしました。
話し合いの末に、
その教師はクビにならなくてすみましたが。

黙って日本人のやり方に合わせていけることと、
自分の意見を主張しなければならないことがありますね。
結婚もして、子どもも生まれましたから。
自分自身の生活をきちんと築かなければなりません。

子どもを日本で育てていくことについては、
それほど反対というか否定的ではありません。
受験戦争があるし
精神的な自由があまりないかもしれませんが、
力強く生きていって欲しいと思っています。

わたしが教えている高校を見ていると、
たとえば野球部に入ったら一週間は野球だけでいっぱい、
というようなことが往々にしてありますが。
まあ、そういう極端なことにならず、
いろんなことに関心を向けて育って欲しいと思います。

自分の教えている生徒たちといえば、
彼らは、考え方、行動ともに子どもっぽいですね。
日本の十八歳は、
ニュージーランドの十四、五歳くらいに見えます。
先生と友だちのように遊んだり。
三年生になっていても一年生のようです。
男子校なのですが、
多くの子が授業中に鏡を見て髪を直したり、
子どもっぽいうえに、女の子のようです。

日本の社会全体が、
彼らに対して過保護だということも、
彼らをそうさせている原因の一つだと思います。

三年間、高校に通っている間は、
家事に対しての責任も課せられていませんしね。
わたしの教えている学校では、
授業も二年生まで出席したら合格と、甘すぎます。
ニュージーランドでは、
勉強しなければ卒業することなんてできません。

家族との生活にも、学業にも責任をもたせない。
それでは大人にもならないでしょう。

国際感覚を身につけるという点についても、
同じようなことを感じます。
外国人に英語を習うとか、
海外に旅行に行くとかだけではなく、
文化の違う場所でホームステイして、
多の国の人々のことを、もっと理解して欲しいと思います。
これは、学生に対してだけではなく、
日本人全般について思うこととして。

いまの日本の風潮を見ていると、
外国の文化を尊重していません。
バカにしているような感じがして、とても不愉快です。

テレビ番組などでも、
遠く離れた国から人を連れてきて、
文化も風習も何もかも違うその人の言動を面白がっている。
もっと言えば、物笑いにしている。
異文化の人を下に見ているんですよ。
もっと相手の文化を尊敬する姿勢をもたなければ、
国際感覚など程遠いです。

わたしは白人ですから、バカにされたというより
優遇されたと感じる経験が多いですけど。
日本人は白人に弱いですね。

入国管理局のようなところでさえ、そう感じました。
マレーシアに住んでいたこともありますが、
その入国管理の厳しさに比べ、日本は簡単でした。
白人だから許されたということ、多いです。

ただ、白人を見ればアメリカ人だと思っているようですが。
よく、「アメリカ人ですか」と聞かれます。
ほんとによく聞かれるんです。
「ニュージーランド人です」と答えると、
こんどは「アメリカでは、こうだったですよ」
「アメリカ人は、こうしていましたよ」と
教えてくれたりするんです。
アメリカ以外の文化は、
テレビで見たように、面白がるだけものなんでしょうか。

このことも含んで、
日本ではマスコミの影響が大きいと思います。
わたし自身に直接関わる問題として、
学生たちにも大きく影響するのが困ります。
ニュージーランドでは日本ほど
テレビのチャンネル数が多くありませんし、
情報量もそんなに多くない。
だから情報に振りまわされることなく、
まず自分で考えることが多いんです。

自分でものを考える習慣があるかどうか。
これも同じ高校生を見て、
大人と子どものように感じる一因だと思います。

 

ニュージーランド・30代前半・男性

 
     

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