企画編集・執筆/紙からWEBまで 言葉の工房オリジン コトバはソウゾウの限界を知らない。
     

在日外国人インタビュー集

     
 

Person 5 (後半)

逃げて帰るか、気を狂わせるか。
それとも、自分の価値を見つけるか。
人の気を狂わせるほどの負のパワーを
いかにプラスのエネルギーに変えるか。

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除け者…
そう、日本人は決してガイジンを日本人の中には入れない。
英国で暮らした経験があって、
米国、アジアを旅行した経験があるけど、
日本に来て初めてわたしは、自分をガイジンと感じた。
自分はガイジンだと感じさせられたのは
、日本が初めてだった。

コトバが通じない間は、
それによってガイジンと感じることもあるけれど、
それ以上の何かを、日本人に中にいると感じる。

たとえば、
「義理の感情がガイジンにわかるの?」と、
言われたりするとき、
自分はガイジンなんだと、つくづく感じさせられる。
たとえば、
コーヒーを飲むときに、砂糖を入れてあげると、
「日本人の女性みたいに気がつくのね」と言われる。
ガイジンなのに、日本の女性みたいな心配りができると。

多くの日本人は、特別意識をもっているように思う。
日本人だけが、日本人だから美徳をもっている。
ガイジンには分からない、
ガイジンは違うんだって。
同じ人間どうし、同じ女性どうしという前に、
日本人か、ガイジンかでくくり、分けてしまう。

くくりからはずされて、
除け者にされた外国人は、 心の中に沈黙ができる。
その心の沈黙のなかで、
気を狂わせるか、自分を見つけるかの二つの道がある。

疎外感や、日本人の無関心さのなかで
心に沈黙ができたときには、
その静かさのなかで自分のなかを旅すればいい。
本を読んで、体験して、
いろいろなことを考えて、自分を知ればいい 。
そうして自分の価値を見つけられたとき、 気もちが楽になる。

自分を救うのは、自分の強さしかないのだから。
相手を責めたり、状況を嘆いたりするよりも、
自分で自分の価値を見つけるしかない。
自分を強くもって、冷静にそれを受け止めて、
相手を理解すること。

たとえば、お弁当のおかずを、
らしくないという一言で拒絶されたとき、
自分のクリエイティビティを否定されて、
誇りを傷つけられたと言えるかもしれない。
でも、それは日本の常識で考えた
姑の親切心だったとわかれば、傷つきはしない。

一人の人間、女性としての心のあり方を、
日本人的と言われたとき、
アイデンティティに対する誇りを傷つけられたと
言えるかもしれない。
でも、自分が自分をきちんともっていれば、
人を個人として捉えられない相手の問題で、
わたしの誇りが傷つけられることはない。

いま、わたしは日本で会社を経営しています。
以前、名刺の印刷を依頼した印刷会社の人間に、
スペインに通貨があるの、
まだ石のお金を使ってるんじゃないのと言われた。
ジョークのつもりかもしれないけれど、機知も何もない。
ビジネスの取引先と一緒だったから、
そうよ、まだ骨をつかって物々交換しているのって、
笑って、やり過ごしたけれど。
これも、腹を立てようと思えば立てられるできごと。
でもその前に、
彼が低レベルな人間なんだと理解すれば、腹は立たない。

ボランティアで南米の人たちに、日本語を教えているのだけど。
その南米の人たちが、
工場で日本人にいじめられていると言ったときには、
その工場で働いている人たちは、
きちんと物事を考えられる人たちなんですか?
彼らは低レベルで物事が分からないのよ。
だから、いわれもなく偏見で人をいじめるの。
気にしないで自分のことを頑張りなさいと、言う。

自分が強くなれば、誇りを傷つけられることもないし、
相手のことを理解すれば、腹立ちもなくなる。

日本で暮らそうと思って、自分で日本に来たんだから、
自分から日本に近づいていく
こと。
自分から日本に近づいて、
いろんな事を知って、理解していくこと。
日本から逃げて帰るか、気を狂わせるか。
それとも自分の価値を見つけるか。

人の気を狂わせるほどのパワーを日本は持っている。
除け者にされたガイジンが生き残るには、
そういう、嫌なところ、汚いところを、
自分のなかでいかにプラスのエネルギーにしていくか、
それだけ。

スペイン・40代前半・女性

 
     

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