Person 22
大きな声の外国人にびっくりされても
こっちから挨拶を続ける。
ケンカはしないけど、意見ははっきり言う。
がんばって覚えた日本語で
日本の人と気もちを分かりあうようになります。
もともとは大使館の仕事をしていて
世界各国を回るなかで日本にも来ました。
それで日本のことが、とても好きになり、
ビザなしでも大丈夫な短い滞在で
何度か日本に来ていました。
そして来るたびに好きになって
どうしてもここで暮らしたいと思いました。
ビザをとって日本で暮らすようになって
最初の2年間、日本語の勉強をがんばりました。
日本で生きていくためには、
日本語を覚えなくてはいけないと思って
YMCAの日本語学校に通って、がんばりました。
日本語はむずかしくて大変だったけど、
先生たちやボランティアの人たちが
やさしかったから、がんばれました。
日本語がほんとに、むずかしくて、
もうダメだ、あきらめて国に帰ろうと
何度も思ったけど、そのたび
先生やボランティアのチューターさんたちが、
がんばれ、だいじょうぶ、がんばれと励ましてくれて。
みんなのやさしい気もちが、涙が出るほど嬉しかった。
いまでも、みなさんのやさしさは忘れません。
バングラデシュにも、ぼくが日本語を勉強した
YMCAみたいな機関があればいいと思う。
貧しい人たちもいろんなことを学ぶことができて
生活が向上し、国も発展すると思います。
いろんな人たちが
自由に教育を受ける機会が開かれている日本は、
素晴らしいと思う。
日本では、お腹が痛いとか、
ちょっとケガをしたくらいなら、
お医者さんに行く前にまず自分で本を調べて
薬を飲んでおこうとかできますね。
みんながある程度、知識をもてるのは
日本のいいところです。
やさしい人たちに応援してもらって、がんばって
日本語を分かるようになって、ほんとによかったです。
日本語が分かるようになると、
だんだん人の気もちが分かるようになって嬉しかった。
コトバはコミュニケーションにとって、とても大切なもの。
最初、日本語が話せない間、
英語でコミュニケーションをはかろうとしたけど、
日本人は恥ずかしがって英語を話さなかった。
せっかく話し合えるコトバがあるのに…
話そうと思えば話せる人も、恥ずかしがって話さない。
日本語が話せるようになってからは、
わたしの方から、どんどん話しかけます。
近所づきあいはとても大切だと思うから、
わたしは自分から、どんどん話しかけます。
同じマンションに住んでいる人には、
会う人会う人に、大きな声で挨拶します。
わたしの奥さんは、外国人が大きな声で挨拶するから
みんな驚いて、ひいているというけども。
顔を合わせるたびに挨拶していたら、
相手からも挨拶が返ってくるようになります。
そこから近所の人の付き合いが始まります。
日本の人は恥ずかしがって話さなかったり、
自分の意見を言わなかったりするけど、
わたしの方からコトバをかけていけば、
少しずつ、付きあいがはじまります。
ただ、日本での付きあいで不思議なのは、
集まって食事をしながら話をしようというと
レストランで会うことになること。
自分たちの家でなら、時間の心配や
お店への気兼ねもなしに、ゆっくり話ができるのに。
わたしはホームパーティーが好きで、
日本人の友だちを今までにいっぱい呼んでいます。
50人くらい、わたしの家に来ています。
でも、自分の家に呼ぶのは、わたしたちだけ。
誰からも家に呼ばれたことはありません。
どうしてだろう。
わたしの奥さんは、日本の家はどこも
そんなに広くないから、人を何人か呼んだら
いっぱいになってしまうからと言うけども。
狭くてもなんでもいい、それなりに楽しめるはずです。
それがとても残念です。
ルールがきちんとしていて安心して暮らせて
やさしい人がいっぱいいる日本が好きだから
わたしは日本の人とちゃんとやっていきたいです。
日本で暮らして6年、
日本人とケンカしたことはありません。
日本に来て日本で暮らしているんだから
日本のルールに従います、従ってます。
ただ、自分の意見はちゃんと言います。
腹が立ったら、きっぱり怒ります。
なんで腹が立っているのか、はっきり言います。
以前、奥さんとレストランに食べに行った時、
ビーフシチューを注文しました。
2千円くらいしたと思うけど、
2ピース入っていたお肉がどっちも脂のかたまりだった。
奥さんは何も言わずにお店の人を傷つけなかったけど、
わたしはすごく怒りました。
マネージャーを呼んで、はっきり文句を言いました。
奥さんもそう、日本人はこんな時でも文句を言わないね。
腹が立っても言わないでガマンしてしまう。
2千円も出して脂のかたまりしか入ってない
ビーフシチューは腹が立ちます。
それははっきり言っていいと思います。
お店の人に分かってもらいたいと思います。
ケンカをするのはよくないけど
自分の意見や考えを言うのは大事です。
とくにビジネスでは、
自分の考えや方針をきちんと言って、
とことん話し合います。
とことん話し合って納得がいかなければ
ぜったいに動かない。
わたしのこの店のオーナーとわたしは
よく意見がぶつかります。
直接お客さんと接することのないオーナーは
お客さんの気持ちを考えないで
お店のやりかたを決めて押しつけてくることがあります。
そんな時わたしは「雰囲気が悪い」
「この味ではお客さんが来ないよ」とか
きっぱり自分の意見を言います。
オーナーに怒ります。
でもそれはケンカではないです。
わたしはお客さんが喜んでくれることを見ていて、
正しいと思うことを主張するだけです。
それ以上は何も、ケンカはしません。
ただ納得がいかなければ、ぜったい動きません。
オーナーが人の忠告を聞かないで
自分の意見を押し通そうとしても、
わたしはぜったいに、それに合わせない。
オーナーの他の店が実行しても
わたしの任されている店では実行しないと言います。
わたしは自分の店のお客さんを見て
お客さんの喜ぶ正しいと思うことをします。
他の店で何度も失敗してオーナーもやっと、
わたしの言うことが正しいと分かってきたみたいです。
好きな日本で暮らすのに仕事も一生懸命です。
私が暮らしている大阪は
交通が便利で暮らしやすいし、コトバも好きです。
大阪弁には広い心を感じる。
お店で「まいど!」とかいって迎えてくれる、
元気で親しみがあって大好き。
人も親切な人が多いです。
夜道を自転車で、灯りをつけないで急いで走っていて
警官に呼び止められて
危険だと注意されたことがあります。
わたしはただ早く帰りたいということしか
考えていなかったのに、その警官は
事故や怪我のことを心配して注意してくれました。
わたしはこのことについて
よーくよーく考えて、涙が出るほど考えましたね。
で、こういう良いことはみんなに伝えようと思って、
国に帰ってからたくさんの人に話しました。
電車でお年寄りに席を譲る子どもの姿を見た時も
感激しました。
教えられた良いことを小さな子どもが覚えていて、
実行している姿は素晴らしいです。
そんな日本のことが、だんだん好きになります。
ビジネスや部屋を借りる時なんか、
外国人ということで面倒なこともあります。
日本は税金や物が高くて大変です。
いっぱいいっぱい働いて疲れている人が
たくさんいます。
仕事が終わって夜遅くに帰る時、
酔っぱらって道でぐったりしている
サラリーマンの姿を見ると胸が痛くて涙が出るね。
良いことだけじゃないけども、
ルールがきちんとしていて安心で便利で
やさしい人がたくさんいる日本が
わたしは好きだから、暮らしています。
バングラデシュ・30代後半・男性 |